易の世界は奥深く、学ぶことがたくさんあります。
でも、易に興味を持ったなら、難しく考えず、とりあえず易をたててみましょう。本格的に学ぶのは、それからでも遅くはありません。
今回は、易の立て方と道具について、先生から解説していただきました。
00:00 ご挨拶
01:00 易の立て方の種類:本筮法・中筮法・略筮法
05:34 筮竹を使った略筮法での易の立て方
19:55 サイコロを使った略筮法での易の立て方
22:30 コインを使った中筮法での易の立て方
29:18 コインを使った中筮法での実占/占的:先生の恋愛運
33:52 易の道具の紹介
34:07 易の道具:筮竹
35:59 易の道具:算木
37:31 易の道具:サイコロ
37:42 易の道具:銅貨・コイン
37:55 易の道具:易占タロット
41:39 おやつの時間:話題/UFOについて
易の占い方は三種類
易をたてる前に、易の占い方の種類を説明しておきます。
易の占い方には、本筮法、中筮法、略筮法の三種類があります。
本筮法
本筮法は18回易をたてます。回数が多いので手間も時間もかかるため、最後まで占的(せんてき)をイメージし続けることが難しい場合があります。そのため、現代では本筮法を採用している占い師は少ないようです。
中筮法
中筮法は6回易をたてます。 本筮法よりは時間も手間もかかりません。そのため、江戸時代から明治時代にかけて、盛んだったようです。
略筮法
略筮法は3回易をたてます。 本筮法が18回、 中筮法は6回ですから、略筮法はずいぶん簡単で、楽に占える占法だといえます。現代では、この略筮法を採用している占い師が多いようです。
01:00 易の立て方の種類:本筮法・中筮法・略筮法
それではここからは、 本筮法、中筮法、略筮法のそれぞれの易の立て方について解説します。
本筮法
先ほども述べたように、本筮法は古くから占われている占い方で、18回占って易の結果を出します。手間も時間もかかること、長時間にわたって占的をイメージし続けることが難しい・・・などの理由から、現在では本筮法で占う人は少ないようです。
本筮法の具体的な占い方については、複雑で説明が難しいため、このページおよび動画内では割愛させていただきます。
中筮法
中筮法は6回の占いで、結果を出します。 中筮法には、筮竹を使った占い方と、コインを使った占い方があります。
このページ、および動画では、コイン(銅貨)を使った占い方をご紹介します。
中筮法(コイン・銅貨)で占う前に…
中筮法(コイン・銅貨)で占う前に必要なものなどを説明します。
用意するもの
銅貨を用意する
中筮法でコインを使って占う場合は、まずは以下のような銅貨を3枚用意してください。

裏表のあるコインなら、どのようなコインでも占えますが(10円玉でも可)昔ながらのやり方で占いたい方は、中国の銅貨が雰囲気があっておすすめです。
中国の銅貨の形には意味があります。丸は天空をあらわし、四角は大地や地球をあらわします。
占い用のコインはAmazonなどでも入手可能です。
算木を用意する
出たコインの陰陽を記録するのに、算木があると便利です。

算木がない場合は、紙とペンを用意してください。
でも、動爻の変化を観る時には、算木があったほうがやっぱり便利です。
? 必要な道具がそろったら、占いをはじめましょう?
占い方(コインを使った中筮法:擲銭法)
それでは占ってみましょう。
1.三枚のコインを6回投げます。
1投目:初爻
2投目:二爻
3投目:三爻
4投目:四爻
5投目:五爻
6投目:上爻
の順で、初爻から順にコインを投げていきます。一度に三枚のコインを同時に投げます。
コインの表は陽、裏は陰です。


2. 初爻から上爻までの陰陽を出す
三枚のコインを投げると、三枚のコインはそれぞれ、裏か表かのいずれかになります。三枚のコインの陰陽のパターンは以下の四つになります。
裏表裏 ⇒ 陽
表裏表 ⇒ 陰
表表表 ⇒ 老陽
裏裏裏 ⇒ 老陰
四つのパターンそれぞれについて、初爻から上爻まで順に、下のルールに従って、算木を並べてください。
★裏表裏=陽の場合 算木を陽の形にしてください。 算木がない場合は紙に
「 初爻: ---」とメモしてください。

★表裏表=陰の場合 「表裏表」なら「陰」ですから、 初爻の算木を陰の形にします’。下の画像が陰の形です。 算木がない場合は紙に
「 初爻: - -」とメモしてください。

★表表表=老陽の場合 「表表表」なら「老陽」です。この場合は、 初爻の算木を陽の形にして、左右どちらかに飛び出すようにずらしておいてください。 (ずらすことで動爻であるということを示します) 算木がない場合は紙に
「 初爻: ---●」とメモしてください。

★裏裏裏=老陰の場合 「裏裏裏」なら「老陰」です。老陰の時は初爻の算木を陰の形にして、左右どちらかにして少しずらしておきます。 算木がない場合は紙に
「 初爻: - -●」とメモしてください。

算木がない場合は、例えば以下のようにして、紙に書いてください。

※老陽と老陰については後程詳しく説明します。
このようにして、初爻から上爻まで、3枚のコインを6回投げて6つの爻の陰陽を決めます。
3.易を解釈する
このように初爻から上爻まで占ったら、易の形が決まります。老陽と老陰が出た場合は、その爻が動爻になります。
易の形(大成卦)と動爻の位置、動爻が変化したのちの卦を考慮し、今の運勢を占います。
22:30 コインを使った中筮法での易の立て方
陰陽/老陰・老陽について
中筮法で占うときには、老陽と老陰を知っておく必要があります。混乱しがちな、陰陽の決め方と老陽・老陰について、少しだけ詳しく説明したいと思います。
陰陽の決め方
陰陽を決める時は、三枚のコインのうち、一枚だけ出たコインの陰陽を採用します。例えば、陽(表)が1枚、陰(裏)が2枚出た場合は、「陽」になります。
陽陰陽 → 陰
陰陽陰 → 陽
この場合、陰陽のかたちは、陰から陽に変化することはありません。
老陰と老陽
三枚とも陽が出た場合は陽、三枚とも陰が出た場合は陰になります。この場合は「老陽」「老陰」と呼び、普通の陰陽とは区別します。
陰陰陰 → 陰(老陰)
陽陽陽 → 陽(老陽)
「老陽」「老陰」 は、すべて(三枚とも)が陽または陰ということですから、 陽の極まった形(老陽) 、陰の極まった形(老陰)であると考えます。
陰極まって陽となる、陽極まって陰となるのが宇宙の真理である・・・ということから、 「老陽」と「老陰」 は、反対側の極に変化する形であるとされ、動爻となります。
老陽は陽でありますが、陰に変化しうるということで、動爻となります。
老陰は陰でありますが、陽に変化しうるということで、動爻となります。


コインを使った中筮法の実占の例
下の動画は、波木星龍先生によるコインによる占いの実占を記録したものです。文章と図だけではイメージがつかみにくいという方は、動画もご覧ください。
29:18 コインを使った中筮法での実占/占的:先生の恋愛運
この動画の場合は、風雷益が出て、動爻は4爻と上爻となりました。

この場合は風雷益が出て、動爻が4爻と上爻ですから、動爻が変化して沢雷随の形になります。

したがって、風雷益の運から沢雷随の運へ変化していく運勢と判断しました。
動爻が複数出る可能性のある中筮法の場合は、大成卦の意味とそれぞれの動爻の意味、また、変化後の大成卦の意味を合わせて読む必要があるため、読み方がやや複雑になります。
略筮法
略筮法は、内卦・外卦・動爻をそれぞれ一回ずつ占います。合計3回占うことになります。
本筮法が18回、中筮法が6回占う必要があるのに比べて、略筮法は3回で占えるため、楽で手軽であることから、現代では略筮法で占うことが多いようです。
「周易」といえば略筮法のことだと思っている人も多いかもしれません。
略筮法で占う場合は、サイコロで占う方法と筮竹で占う方法があります。
それぞれについて、解説したいと思います。
略筮法(筮竹)で占う前に…
これから筮竹を使った略筮法の占い方を説明します。
易の立て方を説明する前に、内卦、外卦、動爻の説明と、必要な道具をご紹介します。それから実際の易の立て方を解説しますので、初めての方は、順を追ってご覧ください。
はじめに解説:内卦と外卦と動爻
易には内卦と外卦があります。算木の上三本が外卦で、下三本が内卦です。そして、動爻というものもあります。図の●で示した部分が動爻です。

占うときは、先に内卦をだしてから、次に外卦を出し、最後に動爻を出します。
【占う順番】
①内卦を出す
②外卦を出す
③動爻を出す
用意するもの
筮竹で占う前に、道具をそろえる必要があります。必要なものは、筮竹、筮筒、算木です。
筮竹(ぜいちく)

サイコロやコインでも易は占えますが、本格的に易をやりたい場合は、筮竹があるとよいと思います。筮竹で占いたい場合はもちろん、筮竹がないとはじまりません。
筮竹を買うときは、長さに注意です。携帯したいなら短いもの、自宅で占う場合は趣のある長いタイプを選ぶなど、用途によって選択したほうが良いと思います
筮筒(ぜいとう)

筮筒は筮竹を収めるのに使う筒です。筮筒の代わりに、鉛筆立てでも占えないことはないですが、格好がつかないので、やっぱり筮筒はあったほうが良いと思います。
算木(さんぎ)

出た易の形を記録するのに必要なのが算木です。
算木がなくても、紙に記録すれば占うことはできますが、本格的に易をやるなら、持っていたほうが良いと思います。
材質はさまざまで、色も何種類かありますし、大きさもいろいろあります。
? 必要な道具がそろったら、占いをはじめましょう?
占い方(筮竹を使った略筮法)
ここからは、筮竹を使った略筮法の占い方の解説です。
1.50本の筮竹の中から一本取りだし筮筒に入れます


50本の筮竹の中から一本ぬきだし…

筮筒に入れます。
この、ぬきだした一本のことを「太極」といいます。これは「易の神様」のようなものだと思っていれば良いと思います。
2.筮竹を扇形に広げます


残り49本の筮竹を扇形に広げます。正確に扇形に広げるのは物理的に無理なので、だいたい扇形に広がっている…とイメージすればOKです。
ちなみに、人間が空を見上げた時に見える範囲が扇形であることから、 扇形は天空をあらわします。
3.占う事柄を第三の目から筮竹に対して伝えます

まず占いたいことをイメージします。(占いたいことを占的(せんてき)といいます。)
額の中央の奥のほうにある第三の目に意識を集中します。 そして、 占いたいことを自分の第三の目をとおして筮竹に伝えます。
4.一瞬息を止め筮竹を二つに割ります

そして、一瞬息を止めた後、筮竹を二つに割ります。
5.右手に残った筮竹を筮筒に入れる 。

左手はそのままにして、右手に残った筮竹を筮筒に収めます。
このとき、左手は天をあらわし、右手は地をあらわします。
6.筮筒に入れた筮竹から一本取り出し、左手の小指と薬指の間にはさみます


筮筒から筮竹を一本取りだして、


左手の小指と薬指の間に挟みます。
右手にあった筮竹は地の領域をあらわしますが、そこから一本取り出した筮竹は人間をあらわします。そして、その人間を天の領域をあらわす左手の筮竹に加えます。
このような動作をするのは、易の思想の中にある「天地人=三才」の考えがもとになっています。三才とは天(宇宙)と大地(地球)の間に生きるのが人間であり、人間の人生である…という思想です。


7.残った筮竹の本数を数える 。

加えた一本の筮竹も含めて、左手の筮竹を数えます。
残った本数から易の八卦を出します。
数え方:筮竹を二本ずつ取りそれぞれ「春 」「 夏 」「 秋 」「冬」 と数えます。
このように数えて、残った本数によって八卦を導き出します。
残りが1本:天・乾
残りが2本:沢・兌
残りが3本:火・離
残りが4本:雷・震
残りが5本:風・巽
残りが 6本:水・坎
残りが 7本:山・艮
残りが 8本:地・坤
2本ずつとって春夏秋冬と数えれば、8で割ることになるので、残る筮竹の数は必ず1~8のうちどれかになります。
8.八卦の形を算木に記録します。

算木のない方は、紙に記録してください。
これで内卦が出ました。
9.続いて外卦を占います
外卦の出し方は内卦と同じです。

10.動爻を出します

動爻を出すには、まず内卦の出し方の1~6までの手順を行います。
太極をとり、半分に割り、右手の筮竹を筮筒に戻し、一本取り出し、左手の薬指と小指のあいだに挟みます。
ここまでは、内卦の出し方と同じです。
動爻を出すときは数え方が違います。
筮竹を数える時、筮竹を2本ずつとり、「天」「地」「人」と数えます。

そして残った本数が「動爻」となります。
天地人と2本ずつ数えると、6で割ることになるので、必ず数は1~6のどれかになります。
動爻のでた爻の算木を少しずらしておきます。

これで易の形が完成しました。
この画像(動画)の例では、風雷益の2爻が出ました。

このようにして易を出したのち、易の形と動爻から、今の運気を読んでいきます。
05:34 筮竹を使った略筮法での易の立て方
略筮法(サイコロ)で占う前に…
サイコロを使った占い方は簡単です。 筮竹を使った占い方と同様、
①内卦
②外卦
③動爻
を出します。
サイコロ占いの場合は、これら、内卦・外卦・動爻をすべて、一回サイコロをころがすだけで一度で占えます。時間がない時などの占いに向いています。
用意するもの
サイコロで占う前に、道具をそろえる必要があります。必要なものは、サイコロと算木です。
サイコロ

サイコロで易を占う場合は、八面体のサイコロが二つ、六面体のサイコロが一つ、合計三個のサイコロが必要です。
八面体のサイコロは色違いのものを2個用意し、どちらかを内卦、どちらかを外卦を占うために使います。
六面体のサイコロは動爻を出すために使います。

サイコロはAmazonなどでも入手可能です。
算木
出たサイコロの目を忘れないように記録するためや、動爻の変化を知るために算木があると便利です。ない場合は、紙に手書きでもOKです。

? 必要な道具がそろったら、占いをはじめましょう?
占い方(サイコロを使った略筮法)
ここからは、サイコロを使った易の立てかたの解説です。
1.八面体サイコロのどちらが内卦でどちらが外卦か決めます。
通常は赤いサイコロと黒いサイコロがあります。どちらを内卦として読み、どちらを外卦として読むか、あらかじめ決めておきます。
今回は、赤が外卦、黒が内卦、として占うことにします。
2.サイコロを転がします。
占いたいことをイメージしながらサイコロを振ります。


3.算木に記録します。

※向こう側に座っている占い師から見ての配置になるため、上下が逆になります。

このサイコロの場合は、内卦(黒)が雷、外卦(赤)が風、動爻(六面サイコロ)が二なので、風雷益2爻になります。

4.易の形から運勢を占います。
算木に記録した易の形を使って、運勢を解釈します。
19:55 サイコロを使った略筮法での易の立て方
易の占い方にはいろいろあります
易の占い方には、 本筮法・中筮法・略筮法の三種類の方法があります。占う道具も、筮竹、サイコロ、コインなどがあります。
占う目的や事情によって、その時にあった占い方をすると良いかと思います。
第二回の、ここまでの解説で、とりあえず易の形は出せるようになったと思います。
しかし、易占いをするには、さらにここから、占的(占いたいことや質問)に応じた解釈をしていかなければいけません。
解釈法などについては、次回以降、じっくりと解説していく予定です。
次回は、陰陽について先生に教えていただきます。
次回もお楽しみに♪
波木流占い講座:易の基本(第一回~第七回)
第1回から第7回まで続けて視聴することで易の基本が学べます。
- 第一回:「易って何?」:https://urauraurara.com/namikikouza/namiki001/
- 第二回「易の立て方と易の道具」:https://urauraurara.com/namikikouza/namiki002/
- 第三回「陰陽」:https://urauraurara.com/namikikouza/namiki003/
- 第四回「八卦」:https://urauraurara.com/namikikouza/namiki004/
- 第五回「おすすめ易の本」:https://urauraurara.com/namikikouza/namiki005/
- 第六回「易の解釈法(一):易経を使った易の解釈法・十翼・象伝・彖伝 :https://urauraurara.com/namikikouza/namiki006/
- 第七回 成卦法:https://urauraurara.com/namikikouza/namiki007/