易の64卦の解説と占いの結果をまとめていきます。占いの結果は、藤野真帆の解釈です(文献も参考にしました)。よろしくお願いしますm(__)m
乾為天(けんいてん)
卦辞:乾は元いに亨る。貞しきに利ろし。
前向きで健全で精神的。理想高すぎには要注意。
乾為天は、天を意味しています。宇宙の広大さや、万物を育てていく根源エネルギー、はじまりや出発点を表します。
乾為天が出た時は、精神的で健全な気持ちがあり、パワーみなぎり、とてもポジティブな状態です。しかし、前向きにやりすぎる点においては注意が必要な時です。
乾為天が出た時は、力のある人と無い人とでは、意味が違ってきます。実力もあり、すでに認められているような人、高い地位についている人にとっては、良い時です。
しかし、力の無い人は、位負けしてしまいます。実力に見合わない立場に置かれてしまったり、理想ばかりが高くて現実が伴わなかったり、机上の空論に終わってしまったり、頭でっかちになってしまうこともあります。
乾為天は、すべて陽でできており、陰が一つもない形です。精神や意識や理想ばかりがあり、地に足がつかない形ともいえると思います。したがって、地位が高い人、力のある人は、下の人たちのことが理解できにくい状態かもしれません。
高い目標や理想を掲げる時は、現実面もしっかり意識すること、自分が上に立つときは下の人たちの気持ちも考えようと努めること・・・そういうことの重要性を、乾為天はあらわしていると思います。
また、乾為天があらわしている、大きな力を使いこなすには、タイミングを読むことが大切です。
易には6つの爻がありますが、それぞれの爻が、力の発揮すべきタイミングをあらわしています。(それぞれの爻の意味については後に述べます。)
時と場所(時空、タイミング)を読める人は、宇宙にあまねく存在する創造エネルギーを使いこなすことが出来る・・・ということになるのでしょうか・・・。それこそが易の考え方なのかもしれません。
そういうわけで、乾為天(そして坤為地)は、ほかの卦と違い、特別な卦とされています。
乾為天は、下のイラストのような形をしています。上も天、下も天です。乾が二つありますが、こういう卦を重卦といいます。似たようなことが何度も繰り返し起きがちな時かもしれません。

乾為天が出た時は…
乾為天が出た時は、基本的には思っていることはうまく行きますが、正しい道を、正しいタイミングで進むことが重要です。
一般の人でこの卦が出た時は、気持ちだけ大きくなって地に足がつかない状態であったり、分不相応な重荷を背負わされる・・・という側面もあります。
お仕事の場合は、利益度外視で理想に走りすぎたり、評価だけを得ようとする部分があります。名声や地位を得ることが出来ても、利益は期待できないかもしれません。
利益を考えず、精神的な充実や名声が目的のおしごとであれば、良いときです。
プライベートなことよりも、社会的な側面に焦点が当たりがちな時でもあります。
恋愛でこの卦が出た時は、二人ともプライドや理想が高すぎたり、真面目でストレートすぎたり、自己主張が強すぎたりします。お色気や優しさの面が不十分。精神的で真面目なお付き合いはできそうですが、愛情面では満たされないかもしれません。
・はじまり
・ポジティブ
・普通の人にとっては負担が大きいかも
・高いところ、高い建物、高級品、ブランド志向
・富裕層
・公的なこと
・融通きかない
・不老不死の妙薬の意味
・物質面では空回りの運
・短気、強引、多忙
・欲張るとよくない
・恋愛は優しさやお色気不足
乾為天:各爻解説
易経には龍の姿によって、乾為天のそれぞれの爻の状態が書かれています。龍がまだ地下に潜んでいる状態から、天高く昇っていく、それぞれの段階の姿が、易経には描かれています。
乾為天:初爻
潜竜。用いるなかれ。
龍は地下に潜っています。やる気はあり、エネルギーはみなぎっているのですが、発揮すべきタイミングが来ていません。すぐに動かず、様子を見ておいたほうが良い時です。4か月後にはチャンスが来るかもしれません。
初爻をひっくり返すと、天風姤になります。

よさそうに見えるお話が来ても、今だけの一時的なものかもしれません。女性や目下の人のトラブルに注意。
乾為天:二爻
見龍田にあり。大人みるに利ろし。
龍は、やっと地上に出てきました。
才能発揮できる時期です。目上の立派な人に認めてもらえれば、自分の実力を伸ばしていけるチャンスの時。自分は控えめにして、上の人の言うことを聞いていた方が良いです。
二爻をひっくり返すと、天下同人になります。

周りの人たちと足並みをそろえ、仲良く親しみながら過ごすと良いです。周りの人から期待され、人の世話を任され面倒に感じることがあるかもしれませんが、自分優先でやるよりも、みんなのことを考えて行動するほうが良い時です。
乾為天:三爻
君子終日乾乾し、夕べに惕若たり。厲けれど咎なし。
もう十分、実力がついたと感じるかもしれませんが、まだまだ、上があります。ここで慢心してしまえば、小さくまとまってしまいます。
油断せず、さらに自己研鑽に努めれば、今後さらに、レベルアップが見込める節目の時。朝から晩まで努力し、夕方には一人反省会をするくらいでちょうど良いかもしれません。

三爻を裏返すと、天沢履になります。
記入ミス、チェック漏れには要注意。就職活動中の方は、履歴書の不備に気を付けたほうが良いです。おしゃべりしすぎ、酒の飲みすぎにも要注意。周りからは、慎重で時間がかかる人、と思われるかもしれません。時間がかかても、じっくり取り組みましょう。
乾為天:四爻
あるいは躍りて淵にあり。咎なし。
これから、上昇していける、踏ん張り時の運勢です。レベルアップの最初の一歩を踏み出したばかりですから、自信がなくなったり、不安になりがちかもしれません。
弱気になって、誰かに甘えたくなったり、自分を甘やかしたくなるかもしれませんが、甘えや私情を断ち切り、すべきことをやりましょう。そうすれば、今よりも立派な人になれます。さらなる高見を目指し、夢に向かって前進しましょう!

四爻裏返すと、風天小畜です。
よくわからないことについては、即決しないで、慎重に対応しましょう。すこし待ってみたり、上の人に相談してからにしておいた方が良いかもしれません。そうしないと、危なっかしい人と思われる可能性もあります。
しかし、慣れていることや、自分で出来ると分かっていることについては、すぐに手を付けて片付けてしまったほうが吉です。
乾為天:五爻
飛竜天にあり。大人をみるに利ろし。
竜は天高く飛んでいます。才能開花し、飛躍している状態です。目標達成、念願成就の時です!空に昇った太陽のように、キラキラと輝いているのが今のあなたです。
トップに上り詰めたり、リーダー的な役割を任される人もいるかもしれません。
五爻を裏返すと、火天大有になります。

実力が認められている時でもありますが、周りの人たちと、足並みをそろえて行動することも求められる時です。
うまく行っているからと言って、周りの人の気持ちを考えなかったり、慢心してしまった場合は、かえってよくない結果となりそうです。
リーダーを任された人は、下の人の気持ちも考える必要があります。後輩や部下など、下の立場の優秀な人に仕事を任せると、良い結果が出せそうです。
乾為天:上爻
亢龍悔あり。
龍は上りすぎてしまって、危うい状態。実力や才能があっても、やりすぎたり、驕りが出てしまえば、かえってよくありません。
独善的になりがち、自己主張しすぎて、反感を買いやすい時でもあります。意見をいう時は、控えめを心掛けておいたほうが良さそうです。
既に目標達成、願望実現してしまった方は、引き際が肝心な時。充分結果を出した方は、思い切って、手を引く決断をされるのが良いかもしれません。
強い気持ち、強い願いで、想いをかなえてきた人は、その願いは本当に正しい願いだったでしょうか?やりすぎ、欲張りすぎていなかったでしょうか?今までの自分の考え方や行動を、振り返ってみるのも良いかもしれません。
上爻を裏返すと、沢天夬です。

やりすぎ注意の運勢です。押しが強すぎると、周りの人から「トラブルメーカがーきた」と思われてしまうかもしれません。決断の時でもあります。
乾・天が出た時
用九:群龍首なきを見る。吉なり。
用九には「群龍首なきを見る。吉なり」とあります。
用九は乾為天に、用六は坤為地だけにある、特別な爻辞です。
九は陽のことです。乾為天に限らず、陽が出た時に気を付けなければいけないことが、用九で述べられています。
用九は陽を良い方向に使う方法であり、用六は陰を良い方向に使う方法です。
用九は「群龍首なきを見る。吉なり」ですから、実力があっても、頭が見えないように、つまり、才能を自慢したり、ひけらかしたりしないで、目立たず穏やかにしておけばよい、ということになります。
陽・・・つまり、前向きでポジティブな時は、かえって実力をひけらかさないでおいたほうがよい、という、昔の賢人の知恵がここにあるのかもしれません。「能ある鷹は爪を隠す」ということわざがあるように、できる人は、実力を自慢したり、見せびらかしたりしない・・・ということになるかもしれません。
以上、乾為天について、まとめてみました。勉強の進み具合によっては、追記することもあるかと思います。